IT系女子ログ

Webデザイナーのエッセイ。デザイン、コーディングで気になることをあれこれ考える。

【2018年版】社内じんわりアクセシビリティ普及活動記録

こちらは、Webアクセシビリティ Advent Calendar 2018の11日目の記事です。

 

普及活動のご紹介

目的

「少しでも誰かの『べんり』を増やすこと」と「アクセシビリティに気を配りながら制作する空気を、じんわりと社内につくること」を目的としています。

「まずは自分から。まずは自社から。まずはできることから。」がポリシーです。

 

内容

1つは、社内であたりまえのことにしていきたいので小さく継続的に行うこと。
もう1つは、できるだけ自分ごととして考えてほしいという思いから、なるべく実務でどう対応できるかの話題もからめて話すことを意識しています。

 

前年の課題と今年の目標

2017年は活動を開始した年でした。
社内では制作チームと営業チームとで分かれており、どちらもアクセシビリティという言葉を知るところからのスタートとなりました。

まずは自分が所属している制作チームから、アクセシビリティのタッチポイントを増やそうと試行錯誤しています。

 

2018年の目標は3つでした。

  • ガイドラインにアクセシビリティの項目追加
  • 誰でも一定のアクセシビリティを担保できるように
  • アクセシビリティの考え方をみんなで話す機会を設ける

 

前年の記事はこちらです。
社内じんわりアクセシビリティ普及活動記録 - IT系女子ログ

 

 

2018年の活動記録

今年はより実務に踏み込んで具体的な活動ができたと思っています。

 

制作ガイドラインの変更

コーディングガイドラインに、

  • バリデートを必ず行って、エラーをなくすよう努めること
  • altには、その画像が表示されなくても意味の通じるように、説明文をつけること

を追加しました。

 

ガイドラインへの追加は単純な話だと考えていたのですが、実はガイドラインが存在するものの実務であまり使われていなかったのです。
まずはガイドラインの順守を意識していただけるようにしたり、口頭でのみ伝えられてきたルールとドキュメントの記載の差をなくしたりすることからはじめました。

 

工夫したのは、メインで保守を担当している方に同じガイドライン改訂タスクを持っていただいたことです。同じようにドキュメントを読み込んで現在の制作にあわせて必要なもの不要なものを洗い出していただきました。

 

ガイドライン改訂の完了後に、制作チームに共有する時間を設けたのですが、そこでも手助けいただけて精神的負担が少なかったです。
私からの説明では伝わりづらかったかなという反応をされていた方でも、話者が変わるとすんなり理解できているようでした。

メイン担当者は複数人いたほうがいいのかもしれません。

 

今まで各人の裁量にまかされてきたガイドラインに追加したので、ガイドライン自体を順守していただけるようにしなければなりませんでした。

私は制作フローにメイン担当者以外のチェックを追加しました。自己チェックモレが減って急ぎの後戻りがほぼなくなったし、自己チェックだけでは不安だった経験の浅めに方々にもガンガン参加していただけるようになり、いい変化が起きました。

結果、品質は上がり、工数はそこまで膨れず以前と変わらないくらいに落ち着き、制作フローの見直しができてよかったです。

 

バリデートについては外部パートナーさんにもご協力いただけるようになりました。

 

アクセシビリティ保守対応の実案件

数年前に制作されたサイトのアクセシビリティ対応の依頼でした。

営業担当者もクライアントもアクセシビリティに明るくなく、予算内で作業内容はおまかせだったのですが、私も実案件は初めて。資料を探すところからはじめました。

 

特に参考にさせていただいた資料です。

総務省|情報バリアフリー環境の整備|みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)

実践ノウハウ|エー イレブン ワイ[WebA11y.jp]

アクセシビリティとは | ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)

WCAG 2.0 解説書

 

実案件を通して、アクセシビリティ対応についての学びがありました。
たくさんあったので箇条書きで残したいと思います。

  • まずはmiChecker (エムアイチェッカー)を準備すべし
  • セマンティックなコーディングはアクセシビリティ対応のうち
  • アクセシビリティ対応は上流からはじめればはじめるほど負担が軽い
  • 企画・設計の段階でアクセシビリティ方針も考えたい
  • デザインを変更せざるを得ない場面がたくさんある
  • 特に色のコントラストはデザインFIX前にチェックしたい
  • 保守では対応できる範囲がとても狭くなる
  • 見出しは装飾にもなるけど、装飾そのものではない
  • 「詳しくはこちら」より具体的な言葉はないか考える
  • altのつけかたはテレビ字幕やラジオ中継の実況が参考になる
  • デバイステキストは最強。それだけでアクセシブル
  • WCAGが難解で心が折れそうになるので付け焼き刃は危険
  • 普段から少しずつ勉強しておく、専門家に依頼するのも手

 

日報での小さな共有

弊社の日報では業務中に役立った記事や、気づいたこと、疑問に思っていることなどをメモとして残す項目を設けています。
アクセシビリティ対応の進行中のときに「こんな対応しました」と実例の紹介や「こんな記事がありました」と小出しに共有していました。

 

特にわかりやすくて読みやすかった記事はWeb担さんの記事でした。

Webアクセシビリティ対策って、何からやればいいんですか?/Webアクセシビリティのコンサルタントの植木真さんに聞いてきた | Webのコト、教えてホシイの! | Web担当者Forum

 

アクセシビリティ対応の要件があるコンペの参加

大型コンペに社をあげて準備したいとのことで満を持して参加することに。
幸運にも企画の要件にアクセシビリティ対応を行うこと、プレゼンの場で対応方法を説明すること、とあったようで、役員の方が直々に相談してくださいました。

今までの営業チームの方々の反応はイマイチよくありませんでした。アクセシビリティ対応についての話題を少し出すだけでも煙たがられたり、上の空だったり、「それって結局制作の理想論でしょ、営業には関係ないじゃん」とでも言われているかのような反応でした。


他人事のように捉えられているような応対が辛くて、より理解していただきやすいように伝えかたの工夫を考えつくまでは、話題にするのは控えようと思っていた矢先でした。

 

今までの反応が嘘のように前のめりで聞いていただけたのは、案件受注に関わる要素だったからかなと思います。


制作チームに対してアクセシビリティの話題をするときは、「より良い制作をしよう」「力を注いだ制作物がそもそもアクセスできない自体をなくそう」のような、あいまいな話し方でも聞いていただけていました。

いい制作につながるなら、今はよく理解できていなくてもやっておこうという気持ちがあったからだと思います。

 

それをそのまま営業チームに話しても、「工数増えるやん」「見積もりあがるやん」となるでしょうから、背景に合わせた話し方は普及活動にとっては生命線のように大切だなと実感しました。

 

 

総括

  • 実案件は否応なく自分ごとにできて普及速度が速い
  • 制作チームでの普及は感情ベース
  • 営業チームでの普及は成約ベース
  • 聞き手に拒絶されるも受け入れられるも、話し方や話者しだい
  • 普及が進まないときは、適切な話者はどなたかを考える

 

来年の目標

近々での退職が決まったので来年の活動は新たな職場で行うことになりました。

まずは自分の転職活動に尽力したいので、あたりさわりないのですが、社内のアクセシビリティ勉強会を主催することを2019年の目標にします。 

 

2017年の記事はこちら。